2022.01.26
ニイミ産業 新美社長様
質問型営業®と
自社の価値観が結びつく
青木:まず、質問型営業®の採用にいたる過程についてお伺いします。最初に、御社の北野部長が当社のセミナーにご参加され、それで新美社長の方に提案されたと思いますが、その時、どういうふうに思われましたか?
新美:ちょうどその頃、当社燃料を供給する仕事からサービスを提供する会社に変わろうと考えている最中でした。でも、なかなか意識改革が進まず、社員がお客様に伝えたり、要望を聞き出したりすることができないという悩みが出てきていたんです。ある時、「わかっちゃいるんだけど、なかなかできない」という声が聞こえてきました。それはあるベテラン社員の実感だったんですが、どうしても一方的に伝えることになって、結局お客さんの要望を聞き出せないと。
なるほど、そういう声が上がっていたんですね。それを社長は聞かれて、どう思われたんですか?
まぁ、ある意味、正直に話してくれたんだと思うんですけど。社内でも、常々、知識を与える研修とか、実務のスキルを上げる方法とか、いろいろな形で社員教育はやってはきたつもりだったんです。で、教えたあとは、それをどう実践するか。たとえば、それが得意な人に付いて習ってみるとかね。でも、上手くいかない場合もあって。どうしたものか、と思っていました。
じゃあ、やはりそういうことについて、話し合ったりしたとこはあるんですね?
そうですね。そういう話題はやっぱりありましたね。そこにちょうど北野君が、ぜひ導入してみたいと持ってきたのが質問型営業®だったんです。
なるほど。それを聞かれて社長はどう思われたんですか?
正直に申し上げると、単なる営業ノウハウみたいなもので、面白くないなぁと。会社の理念にそぐわないような。言ってみれば、話法・テクニックで押し売りをするような印象でしたね。
なるほど。どうしても、営業の技術というものは、そういうふうに思われがちなんでしょうね。単なる技術論、質問型の営業法、つまり「売る技術」の一つように受け取られがちです。私なんかもよく言われますよ。どうやって質問したらクロージングできますか?もう、そんな話ばっかり(笑)。やっぱり、みんな世間はそう思いますよね。
当社が今、燃料を売るだけではなく、サービスを提供する会社になりたいことと合わせて、もう一つ大事にしているのが、お客様の信頼をしっかり積み重ねられる会社にしていこう、という部分なんです。長い歴史もありますので。そういう意味では、お客様の満足につながらない押し売りのようなことはしたくなかったし、させたくなかった。たとえ、それで売上が上がったとしても。
それは素晴らしい考えですね。それをまた、トップの方が言われるっていうのが素晴らしいですね。お客様の信頼いただいて売上を上げていこうというのは、素晴らしいですね。
二宮尊徳の言葉で、“遠きをはかる者は富む”という考え方を皆で活かしていこう言っているんです。
それは、どういう意味ですか?
長期的な視点がある人は、目の前の結果・利益だけを求めないという意味ですね。長い目で杉の苗を植えて、作物なら春植えてしっかり育てて、秋に刈り取る。反対の言葉は“近くをはかる者は貧す”、貧窮するんです。先のことは考えずに、苗も植えなきゃ、育てもしない。蒔かずして刈り取り、植えずして切るみたいなね。
なるほど。そういう理念をお持ちだったから、こういう営業法(質問型営業®)があると言われた時、大丈夫かな、と思われたわけですね。
そうです。蒔かずして近きに刈り取るような営業話法を仕込まれても困るな、と。
それは、そう思いますよね(笑)。なるほど、それでどうされたんですか?
では1回、青木先生にお会いしましょうと。とにかく1度お会いして、そういう単なるテクニック的な、結果だけを求めるような営業活動をお勧めになるようだったらやめようと思っていました。
なるほど。そこは真実でございましたね(笑)。
でも、先生とお話して、お客さんの信頼をしっかり得て、お客さんの懐に入っていって、本当のお客さんの要望、もっと言えば、潜在的な要望を引き出す。そういうところまで、質問型営業®でやって、そして成果に結びつけていくという話をお聞きして、私どもの価値観と結びつくところもあるんじゃないかと思いました。その後は、まぁ、とにかく1度やってみようと。やってみなければわからないってことになりましたね。
ありがとうございます。私は社長とお会いして、非常に穏やかに接していましたので、そういう意味でも、私という人物も含めていろいろ確かめられてたんでしょうね(笑)。
そのつもりでいました。
じゃあ、私のそういう話を聞いて安心したというか、まぁ、これなら一度やってみようという感じでだったのですね。
そうですね。やっぱり一度やってみて、その成果を見て判断しようと。
新規訪問が苦じゃなくなった
それで、実際スタートしたんですが、そういう中でなんか肌で感じられるものとか、報告を受けられたもので、どういうふうにお感じになられましたか?
質問型営業®研修の4か月間で中間発表会を聞いたんですが、正直びっくりしましたね。
どういうところに、びっくりしていただいたんですか?
受講した4名の感想が書いてあったんですが、4人のあまりの変わりようにびっくりしましたね。
なるほど。その感想の、どういうところが印象に残っているんですか?
一番は、やはり営業活動新規訪問が苦じゃなくなったことですね。とにかく、お役立ちという気持ちで行くと、自信を持ってやれるっていうんですね。そして、営業が楽しくなりましたと。これがヤラセじゃなくて本人の感想で書いてある。本当にうれしかったですし、ある意味感動しましたね。
まさか、そういう言葉が出てくるとは思わなかったと。
そうです。普通そういう研修を受ければ、大変勉強になったとか、役立ったとか、そういうことは言うんでしょうけど。営業活動そのものが楽しくなりましたというのは、なかなか言える言葉じゃない。
(笑)。営業って、辛い、苦しい、しんどいというのが、普通の感覚。
そんなに辛かったのか?と言うと、いやホントに辛かったんですと、言ってましたよね。
なるほど。それは本当に逆転ですよね。考え方がもう切り替わっちゃうっていうかね。
その時に、改めてこの質問型営業®というものは、本当に営業活動をする人間にとって大切なもの なんだなと、ようやくわかりました。
(笑)。そうなんですね。だから、こういうやり方で契約がうまくできるようになりましたとか、うまく入っていけるようになりましたとか言いながら、実はその時に、営業はテクニックじゃなくて、営業自体が、大きなお役立ちで喜びなんだとわかるんですね。
自信を持てる雰囲気がありありとね、見てとれたわけですから。これは、ホントにうれしかったですね。
多くの人が当社のホームページに入ってくる検索ワードは「営業 辛い 苦しい」ですからね(笑)。営業のイメージといえば、それが一番なんですよ。世の中の営業マンはみんなそう感じていますよね。
やっぱり、営業に対して自信がなかったのかなと。皆わかっちゃいるんだけど、我々もそこまで自信を持たせられなかった、というところがカギなんでしょうかね。
そうですね。自信を持たせる方法でしょう。
話し方。切り口 作り方。そういうところなんですか。
それこそ業種転換みたいな感じですね。今までの物を売っている業態から、まさにノウハウを提供するコンサ心構えとして 、専門家として入っていきましょうと言っています。根底やっりお役立ちっていうか。お役立ちを伝えるために、質問する です。質問っていう、相手 ニーズや欲求を聞き 出すためもです。だから相手 話を聞くことが、お役立ちなる です。質問、テクニック的なもでないんです。 お役立ち ためにやっているんだっていうことになると、今度、質問が自由自在にできるようになってくる。そうすると、質問することによって、相手を常に見れるようになるんですよ。 自分こと考えてないわけですよ。常に引き出すことを考えているんで、非常によく相手を見るようになるんですよ。そうすると相手に対して失礼がなくなるんです。 お客様 欲求でここ進めるべきか、一回引くべきか質問もありますし。長期的にそういう営業 (質問型営業®)ができると、先程 種を植えて芽が出てっていう営業法になってくると思うんですよ。営業レベル、どんどん上がってくると思いますけど。
燃料を供給しているだけでは生き残れない
私どもが研修をやる以前に、工場の現場に対する提案等は、ちゃんと作ってられたと思うんですが、どんな流れで作られたんですか?
ガスとか油っていうのは、商品に差がないものです。付加価値を、と言いましても、なかなか単純ではない。じゃ、値段を安くするってわけにもいきませんし。
そんな中で省エネとか、メンテナンスっていう提案が今、本当にお客さんの要望に合致しているっていう他社との差別化の為に、この独自技術というのは絶対に必要なところです。もう少し言うと、これからの事業の柱としてまだまだ育てていける分野なんじゃないかと考えています。
それこそ業種転換みたいな感じですね。今までの物を売っている業態から、まさにノウハウを提供するコンサルタント的な業態への転換みたいですね。
そうですね。そういう事業が、本当にそういう形でうまく発展すると、全国展開だろうが、海外進出だろうが夢じゃないねって、みんなに話してる。皆も「あぁ、そうだ」と思ってますから。
おお、すごいですね。サービスについては、そういうふうにしていこうというのは、何年前ぐらいから言ってられたんですか?
この15年ほど前までというのは、ある程度燃料さえ売れれば、それで充分食べていけるという、恵まれた業界だったんです。
だってガスさえ売れれば、そんな面倒くさいメンテなんて…(笑)。売ることにだけに力を注げば方いい。あまり余分なことはするな、ぐらいな大先輩たちもいた(笑)。
仕事を作るなと。
もちろん、お客さんのメンテとか修理とか、そういうことは、普通に一所懸命取り組んでやってましたけどね。取引につながらないお客さんのところまで行って、そんなこと提案しなくても、やらなくてOKだった。そういう会社だった。
そうしたら15年以降、ネットが出るような頃からですか?
そうですね。特にリーマンショック以降、需要が大幅に減退してきましたし、もっと言うと、燃料というものが安易に安定的になってきて、入手できて当たり前だと。巷のガソリンの値段競争を見てるとわかりますよね。今、安ければ大型店へドーンと行くような時代で、街のガソリンスタンドがみんな閉めちゃったじゃないですか。
そうですね。あっという間に自分でやるよう(セルフ式)になりましたしねぇ。
そうです。そういう燃料そのもののコモディティ化って言うか、それを供給するだけでは、やっぱり生き残れないという危機感が出てきたのが、この10年、15年ぐらい。
そういう危機感を、皆もひしひしと感じてる中で、やはり我々が産業用にやっていくには、メンテナンスとか、そういう提案ということが、本当に大事な課題なんだと、皆も理解はしてきた。
そうやって構築されてきて、でも最後の力はやっぱりマンパワーっていうかね。営業、人っていうことに委ねるもんなんだなっていうことですよね。
そしたらあるベテランが「わかっちゃいるけどうまくやれないな」って、最初の話ですよね(笑)。
なるほど。それで今へ行き着いたっていうことですね。
質問型営業®は信頼される人づくり
質問型営業®の研修を受けた社員さんの結果や姿を見てて、社長自身はどう思いますか? 例えば人とか教育とか、そういうことに関して。
やっぱり社員が成長するっていうのが一番のよろこびですね。10年後の自分はどうなっていたいかって、皆と話をしてたんですけどね。今のままでいいやと思っている人もいるかもしれませんが、若い人は、10年後にはこんな人間になりたいってものがありますね。そういうものをちゃんと思い描いて、それに向けてこの1年を少しでも、そうなれるよう近づける努力をしていくことが、理想の人間に近づく道なわけです。会社も同じことです。10年後の会社をどうしたいってことを、皆で1月に幹部で議論しましてね。その結果を社員全員に伝えました。
会社で言ってきたことも、いろんな結果が少しずつ花開いていくと、そういうことの一つ一つに説得力が出てきますからね。
そうです、そうです。で、やっぱり社員が成長して、会社もそういったあるべき姿に成長していく。結構みんなからもそういう声が上がっています。
おぉ〜、すごいですね。その社員さんからの声は、社長が今までに言ってこられたことが定着してきた証ですね。
ホントに、皆もそういう気持ちになってくれている。全員じゃないかもしれませんけど、何人かそう いう志のある人間がポツポツと出てきたっていうのは、ホントにうれしいです。質問型営業®ではお客さんの、ある意味プライベートなこととか、お客さんの人となりっていうのを聞くようになるわけじゃないですか。それが自分自身に対しても質問するようになって、普段の自分の生活をちょっと変えにゃいかんなぁという気になった、とボソボソっと言ったんです。
そうなんですね。
じゃあ、自分はどういう人間かってことも考えると。さすがに人格とまでは言いませんでしたけど。
自分が普段から充実した生活をしてれば、お客さんとそういう話ができますでしょ?そういうことまで考えるようになったと言ってたのには、ちょっとびっくりしましたね。
そうなんですね。実は、うちも本当はそっち側がスタートなんですよね。コーチングって言ってね。
その人の潜在能力を引き出すためにはモチベーション。モチベーションということになると、自分の目標、欲求ですよね。それが自分の仕事とリンクするということがテーマなんですよ。そうすると仕事が人生の目標になる。
そうですね。そこは本人もずいぶん腹に落ちたんでしょう。作っていただいた質問型営業®のマニュアルだけ見ますと研修を受けた社員の変化の本当の背景はわかりにくい場合もあるかもしれない。
そうですね。営業では内面が大事で。内面を鍛えることによって、結果が出る。結果が出るからまた内面を磨く。あるいはお客さんのところへ行って、お客様の話を聞けば聞くほど、振り返って自分はどうかと考える。だから、本当の意味で、人としての営業ができるようになってくるということですね。
そういうことですよね。今の話も踏まえて、質問型営業®を総括して言うと、信頼される人づくりって言いますか、そういうものに繋がる大事な取り組みだなと思ってます。
いいお言葉ですねぇ。いただきました(笑)。「質問型営業®は信頼される人づくり」。
本気で取り組むと、そういう者になっていくんじゃないですかね。
なるほどね。で、それができた時には、それこそ、相手のことを考えながら自由自在に質問型営業®を使えるということですね、お役立ちのためにですね。今日は本当にありがとうございました。
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